紙面からニッポンフードシフト

山梨県から、ニッポン フード シフト。

輸出

山梨日日新聞 2022年1月10日掲載

独自のルートで海外進出

「農業は可能性のある産業。農業に新時代の鐘を鳴らしたい」―。農業の「アグリカルチャー」と鐘の「ベル」を合わせ、丸山桂佑さんは2020年、「アグベル」(山梨市大工)を設立しました。丸山さんは父親の病気を機に17年、会社員を辞めて60年以上続くブドウ農家を継承。農業をより魅力ある産業にイノベーションしようと取り組んでいます。「稼げる農業にすることが産地を守ることにつながる」と考え、海外市場に目を向けた丸山さんは会社員時代の人脈を生かし、独自の販売ルートを開拓。21年にはブドウ約60㌧をタイ、台湾などへ輸出しました。高品質の山梨県産ブドウは現地で人気を集めたといいます。出荷時期が集中するため収穫の一部を冷蔵保存し、冬季には香港、台湾などへ輸出する計画です。約50軒に上る契約農家には生産に専念してもらうため、同社で箱詰めなどを請け負っています。選果場を備えて品質管理するとともに先進技術を導入し、若い人でも短期間で栽培方法を習得できる試みも行っています。同社は10代、20代のスタッフが多く、活気にあふれています。新規就農を支援し、耕作放棄地の再生にも注力。耕作面積は4年で12倍に拡大しましたが、ブドウ栽培は繁忙期が偏るため、21年からはイチゴのハウス栽培にも参入しました。「業界のインフラのような役割を担うことで新たな道を切り開き、持続可能な農業を実現していきます」。世界に誇れるブドウ産地を守るため、丸山さんの挑戦は続きます。

47都道府県からニッポンフードシフト
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