紙面からニッポンフードシフト

東京都から、ニッポン フード シフト。

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東京新聞 2022年1月10日掲載

都心から養蜂の魅力発信

ミツバチは、植物や農作物の花粉媒介者として地球環境を支える存在です。2010年、老舗洋菓子メーカー・株式会社コロンバンは、持続可能な社会貢献のため、原宿の自社屋上で都市型養蜂をスタート。16年、同社の養蜂担当として、大学では昆虫生態学を学んだ河辺穂奈美さんが入社しました。初めは不安もありましたが、愛らしいミツバチの世話はとても楽しく、養蜂の魅力に引き込まれていきます。20年、後輩となる北村優佳さんが入社。都市型養蜂は「お客様のすぐ近くで生産できる」ことが醍醐味だと話します。同社のはちみつは、様々な花々から集めた花蜜で作った「百花蜜(ひゃっかみつ)」という種類で、季節ごとに色や味、香りが変化するのが特徴です。「その土地の個性も感じられ、味わいが無限にあるので奥深い」と河辺さん。はちみつの魅力をもっと広く伝えたいと、SNSなどで積極的に情報発信するように。養蜂家同士のつながりも増えて、「原宿を養蜂の情報発信の拠点にできれば」と新たな目標を持つようにもなりました。現在、はちみつの国内自給率は6%ほど、養蜂の人材不足は加速しているといわれるなか、日本の養蜂を次代につなぐため、同社社長の小澤俊文さんは「養蜂に関心を持つ若者を受け入れる企業の体制も必要」と語り、若者の立場から河辺さんは「多くの人にミツバチに興味を持ってもらうため、見学会やワークショップを通じて、特に若者や子どもたちが養蜂に触れる機会を増やしていきたい」と、新しい発想と行動力で養蜂の未来を切り開こうとしています。

47都道府県からニッポンフードシフト
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