紙面からニッポンフードシフト

福島県から、ニッポン フード シフト。

スマート
農業

福島民友新聞 2022年1月10日掲載

データを活用し新たな農業を実践

松川浦の穏やかな海岸を臨む相馬市岩子地区で、2019年に就農した横山圭吾さん。祖父を中心とした家業に目を向けたのがきっかけでした。「広い土地がある。十分な機材もある。でも、担い手がいない」。仕事としての農業の可能性と家業存続への危機感を同時に抱いた横山さんは、26歳でシステムエンジニア(SE)から専業農家への転身を決意。祖父や地元の先輩農家に栽培のいろはを学びながら、稲作をはじめブロッコリーや大豆、小菊、農閑期にはノリ養殖まで、家族・親戚を中心に幅広く手掛けています。就農3年目を迎え、「担い手不足」が地区全体の課題であることも分かってきました。横山さんは「仕事としての安定感を感じてもらうことが鍵になる」と考え、栽培工程のデータ化に取り組んでいます。専用のスマホアプリで地区内の水田の農薬散布状況やかん水時期などのデータ管理や数値化を行い、作業の効率化や栽培技術の確立を目指します。これらの情報を生産者間で共有することで、より安定感のある生産につなげる考えです。全地球測位システム(GPS)を搭載した田植え機を導入するなど、最新技術で農作業を省力化する「スマート農業」も実践しています。その一方で、昔ながらのやり方を尊重することも大切だと指摘する横山さん。「先輩方の経験則には確かな根拠があり、とても貴重。これらとデジタル技術を共存させた農業の在り方を模索したい」。今後は農地の共同管理などを見据え、法人化や従業員の拡大を通して世代を超えた農業の活性化に挑みます。

47都道府県からニッポンフードシフト
トップへ戻る