紙面からニッポンフードシフト

秋田県から、ニッポン フード シフト。

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秋田魁新報 2022年1月10日掲載

耕作放棄地から地域活性化

高齢化が進む秋田県に年々増え続けている耕作放棄地。合同会社秋田里山デザインを運営する二人の現役大学生は、こうした土地を「地球と共存できるバランスを意識した場所・里山」と位置づけ、再生利用に取り組んでいます。あらゆることを里山の視点でよく観察し、考え、形にしていこうと、彼らは昼夜問わず徹底的に話し合い、農地4.5㌃を借りるところからスタートしました。背丈より高い草木が生い茂る土地をひたすら開墾した1年目。2年目の2021年は落花生や水菜、大根、ラディッシュなどを栽培。自然との関わり方に興味を持つ後輩の学生たち7名と一緒に、栽培から販売までをプロジェクトとして推進しています。活動資金は自家焙煎した「さとやまコーヒー」の販売。収益の一部を資金源に野菜の種や苗を購入しています。コーヒーは原産国の里山を作る大切な要素であると同時に、環境問題が影響している植物の一つ。このことを強く意識しコーヒーを資金調達の商品に選びました。購入者が、このコーヒーを購入することで荒れた土地の再生と地域貢献につながることを魅力に感じ、応援してもらえたらという思いがあったからです。里山は人と自然が調和できる価値ある場所。この存在意義が広く理解されたとき、里山は人々の心のよりどころになるのではないかとさえ感じます。朽ちるだけと思われていた耕作放棄地は、今、彼らの手によってかけがえのない場所に生まれ変わろうとしています。

47都道府県からニッポンフードシフト
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