紙面からニッポンフードシフト

宮城県から、ニッポン フード シフト。

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河北新報 2022年1月10日掲載

若者が描く〝農村塾〞構想

東日本大震災による津波被害に農業従事者の高齢化も相まって、離農の深刻化や農業構造の変化が起きている仙台市若林区沿岸部。平松農園の平松希望(のぞみ)さんと仙台あぐりる農園の小倉真紀さんは、どちらも県外の非農家出身ですが、東北大学農学部卒業後、研修を経てこの地で農家になりました。在学中は、震災復興ボランティア団体ReRootsに所属し、代表の二木洸行(ひろゆき)さんらと農業・農村コミュニティーの再生を目指す活動に情熱を注ぎました。現在、同団体が取り組んでいるのが、サツマイモの収穫体験などを通して被災地の交流人口を増やす〝おいもプロジェクト〞。直営スイートポテト店もオープンし、平松農園と仙台あぐりる農園も原料を提供しています。また、両農園は宮城県内2酒造とタッグを組み、地酒・野菜セットの会員制販売にチャレンジ。消費者と顔の見える関係を築くCSA(地域支援型農業)にも注力する平松さんは「生産者と消費者の連携、結びつきを強めていきたい」と語ります。持続可能な農業・農村とは何かを追求してきた平松さんらは、その集大成として〝農村塾〞の構想に着手しました。「雇用、独立、親元を問わず、就農希望者にとって土地や生産技術、人的つながりの確保などが課題。地域農業を担う人材の育成は、地域ぐるみで支えていく仕組みづくりと同一です」と話します。農業を取り巻く人々と協力し、連携の輪が広がる農村の未来を考えています。

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