紙面からニッポンフードシフト

岩手県から、ニッポン フード シフト。

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農業

岩手日報 2022年1月10日掲載

ロボット開発で農業の未来を切り開く

高齢化や担い手の減少により農業の労働力不足が深刻化する中、ロボット開発の分野で課題解決に取り組もうと、大学生らが会社を立ち上げて奮闘しています。岩手県立大学ソフトウェア情報学部4年の田尻隼人さんは、2020年5月に大学や高校時代の同級生らと「滝沢ロボティクス合同会社」を設立。農作業の負担を軽減する「屋外搬送用ロボット」を開発し、22年の販売開始に向けて準備を進めています。ロボットは「遠隔操作」「自律走行」「人間追尾」の三つのモードを搭載し、最大積載量は50㌔。主に収穫作業のサポートを担います。ほかにも害獣への威嚇や農薬散布などさまざまなシーンで活躍することを想定し、ブドウ園やリンゴ園で走行試験を重ねてきました。開発する上で特に大切にしているのは生産者の意見。特に「ロボットは値段が高い」という声に応えて、機能を極力シンプルにし、特注部品を減らすなど徹底的なコストカットを図ったといいます。兵庫県出身で子どものころからものづくりが好きだったという田尻さん。「実学実践」の教育・研究を掲げる岩手県立大学で学びを深める中で、「農業が盛んな岩手は、自分の持つ技術が生かせるフィールド」と多くの生産者が抱える人手不足の課題に着目しました。目指しているのは、人とロボットの共生による“持続可能な農業”の実現。「困っている生産者の役に立つロボットをつくることで、みなさんの食卓に持続的においしい食材が届くことに貢献したい」と力強く語っています。

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