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世界中を酔わせる国産ライスウイスキー

世界5大ウイスキーの一角を占めるジャパニーズウイスキー。2022年には輸出額が過去最高を記録し、人気の高さを裏付けました。追い風を受け、全国の酒造メーカーが相次いでウイスキー製造に参入。日本らしさをアピールしようと、コメを原料にしたライスウイスキーを海外に売り込む動きも活発になっています。茨城県那珂市に本社を構える木内酒造もその一つ。1823年の創業以来、清酒や梅酒、ビールなど、地元の原料にこだわった酒を製造・販売していますが、ユニークなのは、日本酒を仕込む過程で発生する米ぬかを有効活用し、ライスウイスキーに仕上げたこと。地元産の原料で仕込んだウイスキーは、フルーティーな香りを醸し、国内外の左党をうならせています。

日本酒の原料になるコメは、主食用ではなく酒米です。仕込む際には、酒米の玄米の表面を削って磨き上げたコメを使います。純米大吟醸など高級酒になるほど削る量も多くなるので、ぬかが大量に発生します。玄米の表層部を削った「赤ぬか」は豚の飼料などになりますが、赤ぬかの後に出る「白ぬか」は用途が少ないのが悩みでした。そのため、木内酒造は原料を無駄なく使おうと、白ぬか、麦芽を原料にライスウイスキーの製造に着手しました。酒米を3割配合して醸造したもろみを、ポットスチルで蒸留。出来上がったライスグレーンウイスキーを樽で3年以上熟成させ、同じく3年以上熟成させた深い味わいのモルト原酒をブレンドしました。出来上がったライスウイスキーは、コメ由来のフルーティーな香りに加え、モルトウイスキーの深みがマッチ。ジャパニーズウイスキーと呼ぶにふさわしいマイルドな仕上がりになりました。自信作のライスウイスキーは、2020年から発売していた「日の丸ウイスキー」ブランドの1つとして「日の丸ウイスキーKOME」と名付け、2023年7月に数量限定で販売したところ、瞬く間に完売。そのため、「日の丸ウイスキー」シリーズ全体の生産量を、スタート時の2016年に比べて50倍に増やしましたが、海外からの引き合いも強く、需要に供給が追い付かない状況が続いています。

木内酒造洋酒製造部のゼネラルマネージャー・谷幸治さんは「地元産へのこだわりをコンセプトにして取り組んできました。国内外のお客様に長く味わっていただけるよう、さらに地元産にこだわり、クオリティーを上げたい」と話します。日本の風土が育んだジャパニーズウイスキーは、個性豊かな味わいで世界中を酔わせていきます。

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