紙面からニッポンフードシフト

岡山県から、ニッポン フード シフト。

有機
農業

山陽新聞 2022年1月10日掲載

白いキクラゲに魅せられて

通常の黒いキクラゲが突然変異してできる白いキクラゲ。発現率は1万分の1とされ、抽出・培養により量産化の技術が確立された今でも、栽培の難しさから市場に出回っているのはわずかです。結ファーム(岡山県和気町)はビニールハウス(約1.7㌃)で白いキクラゲを菌床栽培しています。年間約6㌧を収穫し、生鮮だけでなく、自社で乾燥加工した6次産業化商品も販売しています。白いキクラゲは光に当たると変色するため、暗闇の中で育てます。収穫まで1カ月ほど。その間、温度、湿度、水分量、空気の流れまでも徹底管理する必要があるといいます。「最初はデリケートさに戸惑い、試行錯誤の連続でした。管理にはとにかく気を使いますが、それでも暗闇に咲く白い花のようでしょう」と社長の頼則悦華さんは瞳を輝かせます。たまたま見学した奈良県の生産農家で出合って美しさに魅了され、栄養士から転身。2018年に家族で起業しました。19年には友人も加わり、姉の石野由佳梨さんを含めた女性3人で栽培を本格化。希少性からすぐに注目を集め、地元ブランドに認定されました。20年には農薬や化学肥料を原則使わない有機JAS(日本農林規格)認証も取得し、付加価値を高めています。「見た目の美しさに加え、食物繊維やカルシウム、ビタミンDが豊富なパワーフード。健康志向が高まる中、将来性が見込めます。岡山から全国、世界に通用するブランドに育てたいです」と頼則さん。農業ガールの一目ぼれから始まった挑戦が農業の、そして地域の明日を開こうとしています。

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